プロジェクトの原稿

「病みかわいい」と日本社会
ブラウニング・ディロン
 近年、世界中で日本のファッションの創造的な特徴が知られるようになり、日本のファッションに興味がある人が増えてきた。日本のファッションの魅力的に感じられるのはどのような性格でも、どのような興味があっても、それぞれに合った代表的なスタイルがあるということである。一つの例として、最近、日本では、「病みかわいい」という意味の「メンヘラファッション」というファッションスタイルが現れてきた。
  「病みかわいい」というのは、2013年に広まった「ゆめかわいい」のスタイルのサブジャンルだということであり、江崎びす子という漫画家が誕生させた「メンヘラちゃん」のキャラクターから人気が普及した。江崎びす子さんによると、「病みかわいい」の要素とは「自殺・殺人、暴力・暴言、リスカット・自傷、薬等」である。謳文句として、「怨みも憎しみも、怒りも悲しみも、みんな可愛くしてあげる」ということが言われており、「病みかわいい」の代表的意味を明らかに表す。つまり、「病みかわいい」とは表面的に一般的な避けられがちな精神病を、ファッションによって、「かわいく」表現することである。
  言うまでもなく、難しい環境である精神病とメンヘラを明確に表す「病みかわいい」は単に楽しめるファッショントレンドだけではない。 「病みかわいい」は日本社会の精神病に対する汚名に深い繋がりがあり、日本では直接精神病や生き辛さを披露することが難しいために、ファッションを通じて真の性格が表せ、個人的な生き辛さを解放できるという理由で普及したと私は、考える。私は、かなり長い間、日本のファッションに興味があり、日本の精神病状態にも関心があるのでこのトッピクを選んだ。日本の精神病支援状態と日本社会における精神病に対する汚名、つまりネガティブなイメージ、を分析し、どのように「病みかわいい」とメンヘラファッションとの間に関わりがあるかを論じたいと思う。そして、どういう風に日本社会における精神病に対するネガティブなイメージを変えていけるのかを考えたいと思う。
  日本の精神病に関する支援は不足しているというイメージがあるが、欧米諸国と比べるとそんなに不足してはいないということが事実である。厚生労働省は2009年に行った精神保健医療福祉の改善のために、精神病患者の入院治療に対する強調を減らし、地域のなかで処遇するコミュニティケアを増やし、過去より楽に精神病の支援にアクセスできるようになった。これにも関わらず、実際に精神病に関する支援の利用率は低めである。なぜかというと、以前からずっと日本社会では精神病に対する態度が否定的で、そのために自分の心の病を披露する恐怖があるからである。心の病に関する否定的認識が学生相談室のカウンセラーに対する援助を求める不安を明らかにした研究によると、「この中でも特に[精神病に対する]汚名は,個人の援助要請の阻害要因として最も引用される概念である。」更に、「自分の感情やその変化を受け入れることが難しいこと,また,心の病が本人の弱さや性格など心の病を抱えた人自身に原因があると考えられている傾向が強いことによって,カウンセラーの対応や態度への心配が高くなっているということが示されたといえる。」とある。 
    この研究の結果を見ると、援助要請の阻害は日本社会の価値観と繋がっていることがわかる。欧米諸国では精神病は一般的に本物の病気だとされているのに対して、日本では精神病とメンヘラは本人の個人的な弱さだとされている。日本社会の価値観の中には一人で我慢することが以前から強調されているのではないだろうか。しかし、長期間一人で精神病の辛さにさらされ、生き辛さが重なってしまうと、自傷や自殺に訴える可能性がある。このように精神病に対してネガティブなイメージがあることと、一人で我慢すべきだと考える社会は「病みかわいい」とメンヘラファッションの要因だと考える。
  確かに、直接自分の心の病について他人に伝えるのは難しい。しかし、なぜ特にファッションを通じて生き辛さを表すのだろうか。まず、「病みかわいい」ファッションを通して、心の病や生き辛さを可愛くすることによって、特に暗い部分が許され、更に明るい視点から自分の病みに対処することができる。このように「病みかわいい」はよく関連付けられているゴシック系とビジュアル系と違う。同じように傷や包帯の表象が含まれているが、ゴシック系とビジュアル系は主に強く、暗く憂鬱を表すからである。そして、ファッションには非常に大事な帰属意識の要素がある。元来、「病みかわいい」は個人的なレベルで生き辛さを開放する目的があるが、このファッションに参加することで、同じファッションに興味がある人と接続し、同様に日本社会に心の病を伝えられない人と友情を作ることができる。社会的なレベルでは、彼らの持つ精神病について話せないが、同じような生き辛さに苦労している人と交流することはセラピーの要素も含まれているのではないかと思う。最後に、「病みかわいい」ファッションは勇ましい大事な一歩である。もしファッションを通して表面に真性格や心の病を自由に表すことができるなら、精神病の援助が安して要請できるようになることに近づくのではないだろうか。
 「病みかわいい」とメンヘラファッションは非常に人気になり、様々な人々の人生に肯定的な影響を与えたが、全体的に日本社会の精神病に対する考え方や姿勢を変えられるわけではない。その考え方を変えるためには、精神病の汚名を分析し、本人の弱さや恥に関する考え方を解消し、精神病の支援要請の肯定的な利益を促進することが必要だ。確かに、日本社会に埋め込まれた価値観を変革することが難しいが、大学のプログラムやカウンセラーの取り組みに通じて若者は一人ではなく、援助と一緒に精神病に対処することができるようになるのではないだろうか。

  


参考文献

     八鍬真理子(201) 大学生の情動コンピテンス,心の病に関する否定的認識が大学生のカウンセーに対する援助不安に及ぼす影響Japanese Journal of Counseling Science, 2011, 44, 148―157
   OECD (2015) OECD Reviews of Health Care Quality: Japan 2015: Raising Standards p166-167OECD Reviews of Health Care Quality

     江崎びす子「『病みかわいい』とは何かLineBlog (https://lineblog.me/ezakibisuko/archives/12337428.html)



Comments

  1. https://www.dropbox.com/s/yh7370iurovd5ts/%E7%97%9B%E3%81%BF.pdf?dl=0

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    2. コメントと勧める書き直すところ、ありがとうございます。そして、おすすめの本を教えてくださいまして、ありがとうございます。発表する時コメントで教えたところに気を付けます。

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  2. こんなに遅くコメントして申し訳ありませんでした!
    お疲れ様でした!このポストを読めば、筆者が日本の精神病に関する方針などを大変に調べたり説明してくれたりする努力がすぐ見えました。
    しかし、最も言いたいことが少し不明になってしまったと思います。最後の段落でメンヘラファッションと精神病の繋がりを理解できましたが、一つ目か二つ目の段落で論文の目的を説明した方が良いと思います。そして、「病みかわいい」とメンヘラファッションに対して、筆者の意見に興味を持つようになりました。前のアウトラインでは、「病みかわいい」とメンヘラファッションが悪そうな印象がありましたが、このポストを読む時、「病みかわいい」とメンヘラファッションは良い点もありそうな印象がありました。意見が変わりましたか?読み間違えた可能性がありますが、分かりたいんです!
    このポストは物凄く面白くて、楽しみました。本当に勉強になりました!

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    1. コメントありがとうございます。
      発表する時、すぐ最も言いたいことを明確することに気を付けます。
      「病みかわいい」に対する意見は変わったわけではないのですが、更に研究すると、良い点を多く見つけたことです。「病みかわいい」とメンヘラファッションは自由に心の病を表すことができない人にとって解放できるなどの良い点が確かにあります。しかし、日本社会における精神病に関する汚名のせいで精神病に間する援助を要請することには恥がありますのでファッション以外に心の病を表しにくいことを感じる人が結構います。そのために、日本社会の精神病に対する態度を変える必要があると思われます。もし変えたら、ファッションだけではなく、カウンセラーや友達に心の病を自由に表せようになり、援助要請に関する汚名はなくなるかもしれません。

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